2005年04月


2005/04/02

 チャリンコに轢かれました、籐太です。

 朝、さあ、これから仕事に行くぞ! って、まさにそのときですよ。
 肩とか脇腹に物ッ凄い衝撃が走ったのは!

 もう駅前の広場近くで、突然ブレイクダンスでも始めたのかって勢いでのたうち回ってしまいましたよ。

 見上げれば、そこにはチャリンコに乗った見目麗しい女子高生

 私は颯爽と立ち上がってズボンに付いた埃を払い、キラリと歯を輝かせながら

「これくらい屁のカッパさ!」

 と言ってやりたかったのですが、生憎、肺が潰され呼吸もできない状態だったのでアスファルトに接吻したまま動けません。

 彼女はそんな私に、チャリンコに乗ったまま――「すみません」


降りろ!
降りて
助け起こせ


 そして、何度も謝りながら

「すみません、私ったらドジで……(おろおろ)」
「なぁに、これくらい日常茶飯事! 気にすることはありませんよ、ははは(ドクドクドク)」
「ああ、血が! 大丈夫ですか?(頭とか)」
「これくらい屁のカッパさ!」
「素敵……(ポッ)」

 とかいう感じで惚れればいいじゃないか! そうすれば、この胸で君を受け止めてあげるっていうか、すでにチャリンコで猛烈アタックを受けたばかりだぜ、って辺りまで脳内ストーリーが進行する頃には、とっくに女子高生の姿はありません

 私は1人、立ち上がるとふらつく足で駆け出します。なぜなら遅刻寸前だからです
 ふと、あの女子高生とは二度と会うことがないんだろうな、と思うと少し寂しくなりました。
 それどころか彼女にとって私は、自分がチャリンコで半殺しにした人として記憶にとどまるか、あっさり忘れるかなんだろうと考えると……
 ものすげえ寂しくなりました

 もう女子高生とは一生縁がない年齢になっちまったんだな、という事実に目から汗が止まらない、籐太でした。


2005/04/05

 最近、やっと『魔法戦隊マジレンジャー』なるものを見ました。
 ゴレンジャーなどのいわゆる5人戦隊もので、ヒーローなので当然登場するたびに名乗りを上げます。

「まじレッド!」
「まじイエロー!」

 ……どんな色なのか気になります、籐太です。


 東京へ移住してから早1ヶ月が過ぎました。
 現在、私は友人宅で3人暮らしをしているわけですが、初めて彼らの住むアパートを訪ねたとき、はっきり言って衝撃でした。

 始めに言っておきますが、私は別にきれい好きというわけではありません。むしろ、大阪の大本営(築60年のボロアパート、空襲にも耐えられる防火構造が自慢=私の部屋)は自慢じゃないけど汚いです。

 そんな私ですから、男2人が暮らす部屋、多少の汚さは覚悟の上でしたよ。

 しかし東京での生活、第1歩を踏み出した瞬間に、その自信はあっさり崩壊した。

 靴下を履いてるというのに、床がネチャネチャしてるのがわかります。
 っていうか、見た目がもうすでにヤヴァイ。モザイクをかけないとソフ倫審査もパスできませんよ

 まあ、一言で言うとゴミの山。山っていうか、山脈。ゴミ袋に詰められた燃えるゴミ、燃えないゴミ、生ゴミ、資源ゴミ、生ゴミ、空き缶、空きビンなどが折り重なり、ダイナミックな地層を形成しています。

 とにかく部屋の三分の一はゴミという名の侵略者によって、不法占拠されてるわけですよ。

 しかもどうやら、東京は大阪とは違い、ゴミの日というものがあるらしく、何曜日は何のゴミを出すと決まってるものですから、1週間かけてゴミを出すことから私の東京での生活が始まったと言っても過言ではない。

 というわけでしばらく、眉間にタテじわは
『他人の家なのに大掃除奮闘記』
 をお送りしたいと思います。

 家主には許可をとってないけどな、籐太でした。


2005/04/09

 今さら読んでいる戦闘妖精・雪風<改>がおもしろすぎます。
 戦闘機同士のドッグファイトで、意味不明の専門用語が連発されているというのに、なぜか大興奮
 専門用語フェチな、籐太です


 それはさておき、『他人の家なのに大掃除奮戦記』第2回。
 正直、書けば書くほどブルーになるので、4回くらいでやめたいと思ってます。

 なにはともあれですね、生活にとって一番重要なのはである、というのが私の持論です。
 ですから、真っ先に洗うべきはキッチンだと思い、買い物に行きました

 洗剤とか、たわしといったものがないからです。

 洗ったことがあるのか? と疑問に思いながら、ステンレスのはずなのに黄色かったり白く濁ってたりするシンクを必死で磨きます。

 そして出しっぱなしの鍋。
 黒ッ

 こんな黒い鍋は見たことありません

 なにこれ? と聞くと、ポンと肩を叩かれ

大丈夫だよ」

 と家主の1人が言います。

何が大丈夫なのか教えてください

 だいたいなんで黒いのかって言うと焦げてるからなんですよ。
 指先で擦るだけで、得体の知れない消し炭がぼろぼろと崩れてきます。

 こんな鍋で料理を作ったら、たぶん死ぬ

 というわけで鍋は新しいのを買った、俺の金でな

 でもまあ、キッチンにはコンロが2つついてるし、魚焼き用のグリルまでついてます。

 大阪のアパートにはコンロが1つしかないので、自炊派の私としては大助かりです。

 ん? 待てよ、グリル?

 そう言えばまだ、ここだけ中を見ていません

 一見、なんの変哲もない魚焼きグリル。
 無論、取っ手はプラスチック製ですよ。でも触った感触はねちゃ。なにかが指に付着しています。

 考えるな、感じろ! と自分に言い聞かせ、思い切って開けます。
 そして、閉めます

 おそらく二度と開かれることはないでしょう。
 ていうか、開けたくない。できることなら、記憶喪失になりたい


 1ヶ月半経った今でも、魚を焼くときはフライパンを使っている、籐太でした。


2005/04/13

 前回の後日談――

 魚焼きグリルの話を読んだ家主Aが、ダンと机を叩いて言いました。

「あれを使ったのはだいぶ前だからもう大丈夫だよ!
「…………」

 籐太です。

 『他人の家なのに大掃除奮戦記』シリーズ第3回。
 しごくあっさりと書いていますが、大掃除にはリアルに半月以上かかっています。

 今回は寝室の掃除です。

 とりあえずホコリがすげえ

 男の部屋だから万年床なのは当然として、棚の上に乗ったフィギュアや小物が灰色の雪を被ったような状態
 部屋の四隅は言わずもがな、テレビの裏など一瞬、カーペットでもひいてるのかと思ったほど、ホコリが堆積しています。
 ……掘り返したらホコリが地層になってそう、ていうか化石まで発掘されそうです。

 とにかく、こんな部屋で寝ていては病気になると思った私は意を決して言いましたよ。

「とりあえず掃除機はどこですか?」
「なにそれ、おいしいの?」

 てな勢いで、手渡されたのはほうき雑巾

 ああ、思い出す。学生だった頃の掃除の時間
ここは小学校か!?

 そもそもここまでホコリが堆積していると、ホウキで掃くのは自殺行為
 くしゃみ鼻水がだらだら流れて止まりません。

 仕方なく雑巾がけをすると、ただの畳を拭いているはずなのにみるみる色が変わっていくのはホント勘弁して欲しい

 そんなわけで掃除機をタダで譲ってくれる東京の友人を探している、籐太でした。


2005/04/16

 前回の後日談――

 ついに意を決して、お願いだから掃除機を買ってくれと頼んだところ、家主Aは言いました。

ハア? 何に使うんだよ!?
「…………」

 籐太です。

 『他人の家なのに大掃除奮戦記』シリーズ最終回。
 多少、大袈裟に書いてるかも知れないけど、すべてノンフィクションです。繰り返す、これは訓練ではない!

 というわけで、最後は風呂です。

 壁は黒。真っ黒。タイルにも黒のぶちぶち模様があって、なかなかおしゃれです。
 もちろん漂ってくる香りは……

物ッ凄いカビ

 カビ、風呂って言うかカビ。もう全部カビ

 とりあえず柄付きブラシを取り出し、浴槽と壁の隙間を擦る。続いておもむろに水ですすぎます。
 限りなく黒に近い緑色をした液体が、溶かしたバターようにどろどろと流れ出し……

うぼぉうぇああぁぎぐぼぉうぇあああああ

 さらに水が張られたままの浴槽、そのお湯の出るところにジャバを突っ込んで掃除します。

 水を流すと浴槽内に大量の髪の毛がソフトボール大も浮き上がってきて、まるで貞子です。

 もうなんなんですか、リング? リングなのか? 呪いのビデオでも見たのか!? それとも呪怨? 呪怨か! トシオ! トシオォオオオオオ!!

 とにかく排水溝がつまらないよう髪の毛を手でかき集め、ゴミ箱にダンクシュートした後、必死手を洗いましたよ。

 あ、待てよ……










今夜、私はこの風呂に入るんですか?

 マツモトキヨシで買ってきた、カビキラーの包装を脊髄反射で引き裂いて、涙を流しながらノズルを連射してやりましたよ。
 もう風呂中、カビキラーだらけになって、肺が痛くなるほどの匂い

 するとどうでしょう? 洗ってないダルメシアンのような黒ブチだった壁やタイルが、白色になったんですよ。初めて白色を見たかのような

 ……つまりはそれだけ汚れてたってことだが、そんなことは忘れてもいい。ていうか、忘れろ

ビバ! カビキラー!

 私は一生、カビキラーの栄誉を称え続けるだろう。
(ただし、カビ臭の代わりにカビキラー臭が取れなくなりました)

 そして、さっそくこの成果を家主に報告しましたよ。
 すると彼は私の苦労をねぎらうようにポンと肩を手で叩き、言いました。







「どうせ、すぐ汚れるよ」

死ネ死ネ、ホント死ネ

 ちなみに風呂を掃除したブラシは、トイレ用だと言って渡された物だったのは内緒だ。
 ていうか、トイレは初めて見た瞬間、無理だと思ったので未だに手をつけていない。

 ついでに部屋はもう一つあるんですが、そこはナウシカで言うと腐海なので、マスク無しで入るのは姫様でも危険です

 ていうか、夜中に誰もいないはずのその部屋からドカドカと走りまわる音が聞こえてくるのはなんなんですか?
 怖くて未だに確かめることができません(実話)。

 きっと座敷ワラシとかが走りまわってるに違いない、と思うことにした籐太でした。


2005/04/23

 さすがにトイレ掃除も敢行しました、籐太です。

 いや、文章にすると急に耐えられなくなったというか、暖かくなってきたある日、部屋に入った瞬間、臭いがトイレだった辺りで限界を感じた、というのが正直なところです。

 東京にやってきて、生活のなにが変わったかというと一番は電車通勤になったことです。
 この往復の電車で本を読むことができるようになったのが何より大きいですね。

 さて、皆さんは少女小説というものをご存じでしょうか?

 一言で言うと、少女マンガを小説にしたようなものです。

 正直、少女小説は下手な18禁ゲームよりもすげえ内容だと思うわけですよ。
 とある小説を例にしてみましょう。

 主人公は設定だけは普通の女の子。
 突然、ぶつかってきた相手が憧れの先輩(女)で、頬を染めてドキドキしてしまいます。
 主人公は女の子同士で抱き合ったりしても、特に何か感じたりすることはありませんが、この先輩が相手だと手が触れ合うだけで心臓が破裂寸前になるらしいです。
 さらにその先輩が男の人と抱き合ってるのを見た主人公は心の中で……

「それ以上、私のお姉様を汚さないで!」

 と叫びます。
 ていうか、先ほどまでただの憧れの先輩だったのに、いつの間に姉妹という設定になったんでしょうか?

 そして、感動のラストでは憧れの先輩(女)のほうから、主人公にお姉様と呼ぶことを強要

 主人公が「待って、お姉様!」と叫ぶところで、終わります。






待って欲しいのは
俺のほうだ


 割と有名な小説らしいですが、これを読んでタイトルを当てられる人はマニアだと思います。

 ていうか、満員電車で読んでるとですね、要所要所で出てくる耽美な挿絵が中途半端に恥ずかしいです。
(むしろ官能小説の挿絵なら平気です)


 そうそう、本人はとっとと忘れたいと思っているのに、なぜかタテじわ始まって以来の大反響(?)だった――

『他人の家なのに大掃除奮戦記』

 を、とりあえずまとめてみました。
 ついでに……

『ニュージーランド紀行・地獄変』

 も、だいぶ前から独立コーナーを作っていたのに、報告していなかったので紹介しておきます。


 それでは、(電車で)隣の「リーマンが見てる」って気分の籐太でした。


2005/04/30

 ゴールデンウィークに入ったおかげで、行きも帰りも電車がすいていて助かります。
 そうだよ、俺は仕事だよ! 籐太です。

 皆さんは、『撲殺天使ドクロちゃん』という本をご存じでしょうか?
 知らない人は幸せです。

 なぜかアニメ化もされたらしいので、前々から気になっていたこともあり購入に踏み切りましたよ。
 現在2巻まで読破しています。

 とりあえず、ドクロちゃんは、ライトノベルというジャンルの小説として売られています。

 が――

 この本を普通の小説と思って読んではいけない。あえて、分類するならギャグ小説と言ったところでしょうか?

 ドクロちゃんにストーリー性を求めるのは、クロマティー高校に話の整合性を求めるようなものだから無駄です。


 とりあえず、簡単にどんなお話か、という紹介をしておきます。ネタバレを嫌う人は見ないほうがいいと思いますが、見てもたぶんあなたの人生に影響はないでしょう


 主人公・桜くんの家に、突然ドクロちゃんという名前のとげとげバットを持った天使が机の中から出てきます。
 なんでも未来から来たそうですが、ことあるごとに主人公をとげバットで撲殺
 そんなドクロちゃんとの嫌すぎる生活を綴ったお話。

 具体的には、ドクロちゃんが拾ってきた子犬首輪をしている)を飼いたいと言い出せば、主人公はもちろん大反対です。
 ドクロちゃんは主人公を撲殺します。
 ついでに魔法の力で主人公を元通りに蘇らせるのですが、そのときの擬音が……

 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜

 読者をまったりした気分にさせてくれます
 そのくせ、この擬音が一文字でも間違っていると主人公は元通りになれないので、油断できません

 最後は、当然ですが本当の飼い主が現れて、子犬を引き取っていきます。
 落ち込んでいるドクロちゃんを主人公が励まします。

「あのイヌの代わりに僕が君のイヌになるよ〜」


主人公は撲殺されます。




 というようなやりとりを4回くらい繰り返して、おしまい。

 ついでですから、軽くキャラ紹介でもしておきましょう。


◎主人公・桜くん
 将来、女の子がみんな幼女になる薬を開発してしまったため、未来の天使達から命を狙われています。

 趣味は1人交換日記。もちろん自分で書いて、自分で返事を書く交換日記のことです。

 得意技は、耳の穴から変な色の煙を出したり、なにかよくわからない粘液を噴出することです。

 ちなみに普通の中学二年生という設定ですが、無茶にもほどがあると思います。


◎ドクロちゃん
 たぶん中二。
 魔法の力(=金)で主人公の両親を洗脳したり、天使の存在を信じないクラスメイトをみんなの前でチンパンジーにして、戸籍もないのに転校してきたことにしてもらったり、やり放題です。

 一応、他の天使から主人公を守るために未来から来たそうですが、主人公を撲殺することはあっても、殺されそうになった主人公を助けたことは一度もありません
 ……結果、主人公は常に自力で危機を脱出。
 むしろ、危機を脱して浮かれている主人公にトドメを刺すのがドクロちゃんの仕事です。

 おかげで存在意義が曖昧になりがちですが、その辺りはロリ顔なのに巨乳という設定と、風呂や着替えをしゅっちゅう覗かれて、その度に主人公を撲殺、という辺りが補っているんでしょう。


◎ザクロちゃん
 ドクロちゃんの妹。
 主人公の命を狙っていた(?)が、なぜか仲間になった。

 見た目19歳、実年齢9歳
 ぶっちゃけ9歳、という設定がどこに生かされているのか、不明である。
 だって、高校生のヤンキーを一撃で全滅させるし、家事なども万事そつなくこなすし、キャラクター的にもやさしいお姉さん系だったり、そもそも見た目19歳という設定が無茶です。
 あ、後、仲間になった瞬間、ばっちり風呂は覗かれてます


◎静希ちゃん
 主人公の幼なじみ。
 キチ●イばかりの登場人物の中で、ほとんど唯一、まともな思考を持った常識人
 なのになぜかただの変態主人公のことが好き。

 早く正気に戻って欲しいと思います。

 ドラえもんのしずかちゃんを意識しているのか? お風呂が大好きという設定だが、これは本当に設定だけで私は憤りを覚えている

 第1話から出てるくせに風呂を覗かれた回数が

 なんとゼロ

 2巻から仲間になったザクロちゃんにまで入浴回数で負けているのは納得いかない。
 これでは、詐欺である


 他にも誰か忘れてるような気がしますが、まあいいでしょう。

 とにかく、『撲殺天使ドクロちゃん』は息抜きで読むには、ちょうどいい本だと思います。

 それでは、3巻こそ静希ちゃんの入浴シーンがあることを祈りつつ本屋に向かう、籐太でした。






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